大手コンビニ・ファミリーマートが「FamiPay」(ファミペイ)でスマホ決済サービスに参入するなど、日本もキャッシュレス社会になってきましたね。
政府がキャッシュレス化を急ピッチで推し進めている理由は、きたるべき2020年の東京オリンピック対策であると言われます。
他にも紙幣の製造コスト削減とか、マネーロンダリング防止とか、あるいは税金の取りっぱぐれを無くしたいからだとか様々な説がありますが、この先さらにキャッシュレス化が進んでいくのは間違いないでしょう。
そうなると、今後の風俗業界はどうなっていくのでしょうか?
今回は、風俗とキャッシュレスについて考えてみたいと思います。
風俗業界と「クレジットカード決済」
今年10月に予定されている消費税10%への引き上げに伴い、キャッシュレス決済した場合に最大5%のポイントを還元すると政府が発表しました。
日本円でのチャージが可能で、日本の金融機関の口座を利用するクレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどの電子決済手段サービスを対象に、2020年6月まで実施するとか。
しかし、この事業に風俗業界は残念ながら含まれていません。
今回、補助対象とされるのは「中小・小規模事業者」であり、風俗店は「過小資本企業」として対象外とされているのです。
風俗業界の市場規模は、実に5.7兆円とも言われています。これは旅行業界とほぼ同じ規模。
一体、これのどこが「過小資本」なのかと言いたくもなりますが、風俗業界では古くから現金商売が主流だったという事実があります。
そのため、売上金をごまかして脱税したり、従業員が売上金を着服したりという不正行為が起こりやすい業界とされてきたのです。
一部のデリヘルやソープランドでは、カード決済が行われてきた例もあります。
例えば、吉原などでは古くから「クレジットカードOK」の店が数多くありました。
風俗という業種上、カード会社と直接契約できないため「カード屋さん」と呼ばれる職業がありました。
普通の飲食店などの名目でクレジット契約し、支払い時にお店にやってきてカード決済を代行したのです(客には「飲食代」などの名義で請求がくる)。当然、その分のマージンが発生するため、現金払いよりもかなり割増金額です。
この時、インプリンタという機械が大活躍しました。カードに凹凸で刻まれた番号や名前をインプリンタで複写するだけなので、実際にはどこで決済したのかカード会社にバレることはありませんでした。
最近はウェブサイト上で事前決済デリヘルなどが増えてきました。この場合も店がカード会社と直接契約しているのではなく、オンライン決済会社が中間に介在しています。もちろん、中間マージンを取って現金払いより割高になります。
こうした中間業者を利用する場合、万が一、個人情報が流出してカードを不正利用されてもカード会社が責任を取ってくれないことがあります。そうしたリスクがあることも頭に入れておくことが大切です。
風俗業界でキャッシュレス化が進まない理由は?
ここまで風俗業界のクレジットカード決済事情について紹介してきましたが、それ以外の電子マネーやQRコードでのキャッシュレス決済ができるお店はほぼないのが現状です。
なぜキャッシュレス決済が進まないのか。そこには風俗業界独特の事情があるようです。
風俗店で働く女の子の給料は現金でその日払いが基本となっています。
すぐにお金を必要としている女の子も多く、月給や週給ではなくその日払い、しかも振込ではなく現金支給を希望するケースがほとんど。ですから、支払い条件を変えたらお店を辞めてしまう可能性があるかも知れません。
キャッシュレス決済の場合、後日、店に入金されるまでの運転資金として手持ちの現金を用意する必要が出てきます。そうした事情からキャッシュレス決済には消極的な風俗店が多いようです。
しかし、風俗業界が健全化してきたことで、その風潮は変わってくるかもしれません。
以前はキャッシュレス決済をしようにも「信用度が低い」と加入させてもらえないこともありましたが、今後はIT業界系の決済会社から契約を集めるよう委託されている業者がシェア欲しさに風俗業界に契約を持ち込んでくるのではないかと予想されています。
例えば、大手ポータルサイトなどが予約から決済までを一括で行えるシステムを導入し、こういった業者と手を組むことはあり得ます。ポータルサイト側は広告掲載料+予約システム利用料に加えて、決済仲介手数料を懐に入れることができます。
また、店側は予約を無断キャンセルした客に対して決済額からキャンセル料を差し引いた金額を返金することもできるでしょう。客にしてみれば、ワンストップで女の子選びから予約・決済まで完了できるようになるメリットが考えられます。
こうした流れとは別に、従来のクレジットカード決済会社のプラットフォームよりも参入ハードルが低い「仮想通貨」による決済を導入する店も現われています。今後、こうした店が増えてくる可能性はあるでしょう。
画期的な決済システムは風俗業界から生まれる!?
日本は先進国の中でキャッシュレス化が遅れていると言われていますが、ホテルの宿泊や航空券など比較的高額な買い物ではクレジットカードの使用率が年々高まっています。
元々、風俗などのアダルト業界には新しいものをいち早く導入してきた歴史があります。古くはビデオデッキやデジタルカメラがAV鑑賞やハメ撮りによって普及し、進化してきたのはよく知られた話です。
現状では風俗業界はキャッシュレス化の波に乗り遅れている感がありますが、これから先、革新的なキャッシュレス決済の方法が案外この業界から生まれるかもしれません。常に進取精神に溢れた業界だけに、十分考えられることです。
いずれにしても、風俗業界における決済システムは大きく変わっておくことは間違いないでしょう。今後のなりゆきを注意深く見守っていきたいものです。