プロフィール
岡田雄二(29歳)入社2年目。
現在シンデレラグループで女性の公式プロフィール写真やプレイ紹介・PR動画の編集を手がける。
――この仕事への転職のきっかけは何ですか?
前職はDTP関連のスタッフをやってました。
お給料が低かったという点もありますが、印刷業界でこのままやっていくのは厳しいと思い転職に至りました。
――風俗というジャンルを選んだ理由は?
応募した会社がたまたま風俗関係だっというだけで、あえて風俗を選んだというわけではありません。
レタッチャーの求人では他の業務と兼業での募集が多い中、シンデレラグループでは分野ごとに完全に分かれた募集をしていましたので、私の希望である『レタッチに専念した仕事』ができると思い応募しました。
――風俗というジャンルに携わることに抵抗はありませんでしたか?
私の周りでも利用している人が多いため、嫌悪感のようなものは特にありませんでした。
――以前は風俗という職業にどんなイメージを持っていましたか?
(色んな意味で)厳しい世界なんだろうなとは思ってました。
――実際に働いてみて感じたことは?
現場(店舗)ではなく内勤スタッフに関しては、他の会社と何も変わらないと思いました。むしろ、自由度が高い会社です。
――周囲の人たちは風俗関係の仕事に就いている事を知っていますか?
友人など近しい人は知ってます。
――周囲の反応はどうですか?
特に変わったこともありません。普段利用している人達ですから。
――なるほど(笑)
風俗レタッチャーの仕事「写真修正について」
――女性の「修正」とは具体的にどのようなお仕事なのですか?
ざっくりですが、カメラマンや店舗スタッフが撮影した写真をより美しく見えるよう補正をかける仕事です。
最近は携帯でパッと撮影した写真を補正することも増えてきました。
――女性の入店から写真がサイトにアップされるまでの主な流れを教えてください。
カメラマンや店舗スタッフが写真を撮影し、私たちレタッチャーが修正を行うというのが基本フローです。
常に写真修正依頼専用のツールが立ち上がっていて、女性よってはかなり細かな指示がそこでされます。
最終的に写真を店舗スタッフにチェック(女の子自らチェックする場合もあります)してもらい、問題がなければサイトにアップします。
――「パネマジ」という言葉を風俗ではよく耳にします。本人と別人にしてしまうことなど本当にあるんですか?(笑)
それはないですね。と言いたいところなんですが実際はありますよ(笑)。
様々な理由でそうせざるを得ないのですが、1番の理由は身バレ防止です。
パネマジと言ってしまうと何でもかんでも可愛く美人に仕上げてお客様を騙すといったイメージですが、女性本人からの依頼で身バレ防止のために行うことがほとんどです。
――そうだったんですね。とはいえ、お客様にとっては『混乱』を招く非常に厄介なことであるのは確かですが、岡田さんにとって「パネマジ」はどこまでが許容範囲だと思いますか?
非常に難しい問題ですね。
普段何気に撮った写真でも、実際の印象と違っていたりすることはよくあるように、風俗の写真でも必要最低限の調整だけで『写真と全然違う』と感じられてしまう可能性は十分にありえることです。
そういう意味ではどこまでが許容範囲であるか明確な線引きはできません。
ただし別の女性との合成はアウトだと思います。合成がアリになってしまうと、際限なく色々なことができてしまうので。
――パネマジや写真の振替など、お客様を騙して(言葉は悪いですが)の集客は一時的であり、長い目で見ればお店にも女性にもデメリットしかないように思います。今後の風俗の新しい写真のあり方についてはどのようにお考えですか?
SNSの普及もあり『写真を加工する』という行為自体が当たり前の時代になってきて、お客様の見る目も肥えてきています。
そうなると修正が強いというだけでお問い合わせの数も減少する傾向にあるんです。
そのような理由から最近では、よりナチュラルな修正を心掛けています。
もっと多くの風俗店で、そのような流れになってくれたら良いなと個人的には思いますね。
写真と違って、ごまかしの効かない『パーソナル動画』も普及しつつありますので、修正が強い女の子は見比べていただければ一発でわかってしまうと思います。(笑)
――修正した写真は誰がどのような基準でチェックしてサイトにアップするのですか?チェック基準にはどのような項目があるのでしょうか?
レタッチチーム内での基準は特にありません。
店舗ごとに写真担当者がそれぞれの写真を確認し、基準が満たされていればサイトにアップするという形です。
各店舗ごとに独自の基準はあるかもしれませんが、レタッチ作業はわりと自由にさせてもらっています。
――アプリによる加工写真や芸能人やモデルの整形写真を目にする機会が多く、風俗サイトの写真も「修正顔」であることがとっくに見抜かれているとは思います。風俗の場合はそれでもやらざるを得ないわけですが、修正写真特有の違和感を感じさせないよう気をつけている点はありますか?
できるだけ質感を殺さないようにし、顔や体のラインが不自然にならないよう意識して調整してます。
修正感を出さないことが1番難しいと思います。
それを修正写真だと思わせない写真が一番優れた修正写真なんです。
――フォトショップ(画像編集ツール)歴は何年ですか?
学生時代を含めると約8年くらいになります。
実務経験はシンデレラグループに入社してからなので約2年です。
――写真修正で一番多用するツールは何ですか?
肌の修正では「パッチツール」被写体の矯正では「ゆがみツール」を主に使用しています。
むしろこの2つさえしっかり使用できれば他のツールが無くてもどうにかなる気がします(笑)
それと自分はペンタブも必須です。
――作業中、写真に感情移入してしまい「可愛くし過ぎてしまう」なんてことはありますか?
よくあります。私が男だからかもしれませんが、無意識にやりすぎてしまうことが結構あります。
そういう場合は店舗の方から「元に戻してくれ」と再修正の依頼が無慈悲に飛んできます(笑)
――なるほど(笑)無意識の気合が結果的に二度手間になってしまうわけですね。では「良い仕上がり」の写真とはどういう写真なのでしょう?
『風俗の写真』という意味では、より多くのお問い合わせをただけたら、それは正解なのかもしれませんね。
必ずしも美人や可愛くエロくすることが正解だとは限りませんので難しいところです。
あと、いくら頑張って修正したところで、元が良い(元々美人の)写真には到底かなわないですね。
――女性レタッチャーと男性とでは仕上がりの「エロ度」に差がありますか? 普通に考えると男性レタッチャーの方がよりエロく仕上がりそうなのですが。
エロ度の違いは分かりませんが、見る視点や捉え方の違いはあると思います。
個人的な感想ですが、女性は美(可愛い)を追求する傾向にあり、男性は自分の欲望を追求するような気がします。
――魅力的な女性像のイメージは人それぞれなので、レタッチャーによって仕上がりに差があると思います。海外の大学などでは女性のスタイルの黄金比などの研究が行われているようですが、男性を魅了するポイントを共有し、誰がレタッチしても差が出ないような工夫はあるのでしょうか?
確かに同じ女性を修正する際に、レタッチャーによって仕上がりの性的魅力に差が出るのは良くないという考え方もあります。
ただ、お客様も十人十色で感じ方も様々だと思うんです。そこはそれぞれの個性だと考えるようにしています。
皆が皆同じ方向性の修正に寄せていたら、ただのホムンクルスの集合体になってしまうと思うので。
※ホムンクルス:錬金術によって作られる人工生命体のこと
――女性をエロく仕上げるコツは何ですか? 企業秘密だとは思いますが許せる範囲で教えてください。
個人的な意見ですが、普段見えない部分(ワキ・腰・おしり等)が綺麗なのは魅力的だと思います。
衣装などの関係で普段見えない部分が露出していることが多いので、そういう部分は意識して強調しています。
ただやっぱり男性向けには、大半がおっぱいです!おっぱい!!
おっぱい大好きです!!!
――岡田さんもおっぱい好きなんですか?
おっぱい大好きです!!!
――修正作業をしていて一番難しいと感じることは何ですか?
女の子のルックスとお店の求めている系統が違う場合ですね。
例えば少し印象がきついような美人系の女性がゆるふわ癒やし系のお店に入店してきた時などです。
――鳴る写真、鳴らない写真の一番の違いは何だと思いますか?
写真からにじみ出る愛嬌やエロさが要因かなと思っています。
あとは様々なフェチの方がいますので、どこにどう刺さるかですね。
ちょっとした腰のくびれ具合や、太ももの太さや曲線の違いでも鳴りは変わってくるかもしれません。
――この仕事で壁にあたったことはありますか? またそれをどう乗り越えましたか?
入社して間もないころは、全てがすべて、いじらないとだめなんだと思ってしまっていました。
その分余計に時間もかかるしバランスの悪い写真になっていたと思います。
それに気づけたのは、一緒に働いている先輩方が都度アドバイスをくれ、様々な技法を教えていただけたのが大きいです。
そのおかげもあり「良い意味での適当」を学びました。
――この仕事はどういう人が向いていると思いますか?
レタッチに関しては明確な正解がないので、そんな中でも妥協しないで正解を見いだせる人ではないでしょうか。
クリエイターは考えるのをやめたら終わりだと思っていますので、1枚1枚とことん突き詰めるということではなく「可愛い美人エロい」をずっと追求できる人ですかね。
――未来の風俗は今とどう違うと思いますか?
人の性欲はなくならないと思うので、多少かたちが変化したとしても根本が変わることはないと思います。
様々なものが進歩していくと思いますが、生身の人間しかできないこともあると思いますので。
インタビューを終えて
バンドマンのようなおしゃれな風貌で気さくな兄ちゃんといった風情のレタッチャー岡田さん。
しかしその口調と言葉は非常に繊細で、女性に対する優しさを常に最優先することを忘れない高い意識を持ったスタッフだと感じました。
風俗にとって最も重要だと言ってもいい女性のプロフィール写真について、しっかりとした意見を持ち取り組んでくれているその姿勢は本当に頼もしい限りです。