サブトピックモデルに基づく文章の流れの評価指標の提案
上記は「日本知能情報ファジィ学会誌」に掲載された或る論文の表題です。何のことかわかりますか? 実は私にもよくわかりません。本文を眺めてみたところ、どうやら評論や論文に於ける論理性や展開の巧拙を文中のキーワードやセグメントを抽出し、その流れを分析することによって評価、より論理的で「巧い」文章を指導する場面に於いてその指標とするというような内容のようです。要は、論旨が明快でそれが読み手に上手く伝わるように書かれているかどうかをパターン化されたアルゴリズムによって分析評価するということです(多分)。
で、この論文がどうしたのかというと、この論文のために使われた「評論」のサンプルが、実は私が数年前に書いた映画に関する239件のテクストで、どうやらネット上に放置されていたそれらを勝手にサンプルとして使用した模様、勿論、転載も引用もカットアップも自在の文章ですから無断使用は別に構わないのですが、このような使われ方をしたのには正直驚きました。イメージとしては私の書いたテクスト群が或る種の機械に放り込まれて然るべく数値化されたとかそんな感じ、ちなみに「論文」の方のサンプルは「人工知能学会全国大会」によせられた学術論文群だそうです。難解で読み辛いと評されていた私の映画批評がサンプルとして果たして有効だったのかどうかは不明、「評論はその特性上○○が××になる傾向がある」とか尤もらしい分析がなされていましたが、それが正しい分析結果なのかどうかはよくわかりません。ともあれ、嘗てカスミを喰らいながら毎月映画を100本観ていたそんな私は品川ラズベリーで責任者を務めさせていただいている者です。
文章の巧拙をファジィ理論によって数値化するというのはなかなかユニークな試みなのですが、この場合は専ら論理性を測る試みで、主に形容詞の扱いによって感覚される情緒的な表現力の差異は特に問題視されていないようです。まあ、評論や論文が対象ですからそれも当然で、実際私も単なる「感想文」にありがちな「形容表現による差別化」を徹底的に排除していましたね。
さて、この仕事でも文章を書く機会は案外と多いのですが(実際私は今その真最中なのです)、中でも売上に直結する重要な文章と言えば、サイト上やメールマガジンでの女の子の紹介文です。「あくまでも写真がメインで紹介文なんて誰も読んでいないのでは?」なんてのは大きな間違い、お客様は案外と紹介文をよく読んでその女の子の価値を測っています。
論文や評論の類とは違って、紹介文の作成は専ら情緒的な作業、大袈裟すぎる形容表現に思わず笑ってしまったことのある方も少なくないのではないでしょうか? 私もあまり得意な方ではありませんから、この類の文章の巧拙を論じることは躊躇われてしまうのですが、簡単に言えば、必要なキーワードの羅列(できれば考えた配置で)とそれらを繋ぎ合わせる月並みさを回避した形容表現、重要なのはこの二つです。キーワードというのは「属性」や「状態」に関する情報のこと(例えば「女子大生」とか「業界未経験」等)、お客様が重要視すると思われるのは実はこの情報、お客様は文中にちりばめられたこれら情報を抽出してそこに何らかの「価値」を発見します。ちなみに、紹介文の作成に慣れない人が陥りがちな誤謬は女の子の外見に関する情報をひたすらに羅列してしまうこと。例えば「サラサラの黒髪に大きな瞳、こぼれ落ちんばかりの美巨乳は…」とか、こういう文章に対しては「(写真を)見ればわかるよ!」と突っ込みを入れます(逆に言えば、そのような外見の情報を余すことなく伝達し得る写真を撮る/撮れることも重要になります)。外見に関する情報で重要なことがあるとすれば、それは写真では見えない部分に関するものですが(パイパンとか乳首の色とか直径とか)、そこは想像の余地を残しておく方がむしろ効果的ですし、情報の過剰な露出は「下品さ」に同義でもあります。
余談ですが、斯様な「属性」の重要性は単にそれを紹介する場面だけではなくて、予めその女の子の価値判断をする場面、つまりは面接の際にも当然適用されます。端的に言えば、その女の子が「業界未経験の女子大生」なら容姿のハードルを下げるということ、総合的な「商品価値」を決定するのは容姿だけでは当然なくて、むしろ「属性」の方が価値を持つ場合もあります。どのような要素/属性が「商品価値」を高め得るのかということは、これは各店舗のコンセプトによっても異なってくるのですが、ほんの少し業務に慣れてくればすぐにわかることです。
紹介文を作成する上で重要としたもう一つ、形容表現というのは、要は「可愛い」とかそういった類の文言ですが、これに関してはやはり多様性と表現力が重要、文章力の差が最も出てしまう要素ですね。文章力などというものは一朝一夕に培えるものでもありませんから、これがない人には「本を読め」としかアドバイスできないのですが、形容表現に多様性を持たせる一番簡単な方法は「アクション」ではなく「リアクション」による表現手法を会得することです。例えば「あまりにも可愛くて吃驚した」という文章なら「可愛い」がアクションで「吃驚した」がリアクション、前者に多様性を持たせるのはなかなか難しいのですが、後者は意外と簡単です。例えば「(あまりにも可愛くて)持っていたグラスを落としそうになった」とか「(あまりにも可愛くて)スタッフ一同大興奮」とかそんな感じ、これによって可愛さの「程度」の微妙なニュアンスを調整することも可能です。
私なりに知っている効果的な紹介文の作成手法は他にも色々とあるのですが、これ以上はまあ「企業秘密」ということで、ともあれ、ヒトにモノを教える立場としては、写真撮影とか文章作成とか、およそ先天的なセンスや才能もしくはそれまでの人生経験に依拠する面が多い業務は教えるのも一苦労なわけで、それこそファジィ学会の学者どもに分かり易く理論化してもらいたいな、と。