Kさんて、なんか普通っぽくていいですよねぇ
その同じ彼女に言わせると「Aさん」であるところワタクシはまるで普通っぽくないのだとか。此処で言う「普通っぽい」とは「風俗っぽくない」に同義、むしろKさん同様に「普通っぽい」と言われていたはずの私がいつの間にやら「風俗っぽい」印象を与える人になってしまっていることに軽くショックを受けたりもするわけですが、まあ、良い意味で「立場が人を変える」というヤツではないか、と、差し当たりそう得心してみるそんな私は品川ラズベリーで責任者を勤めさせていただいている者です。
もう二年ぐらい前の話だと思います。先輩スタッフと立ち話をしているときに丁度或る女の子が出勤してきたのですが、その女の子は出勤の挨拶もそこそこに仕事に関するちょっとした相談話を始めました。私が嬉しかったのは、その女の子が隣の先輩スタッフではなく、終始私の顔を見て話をしてくれていたこと、それが当時の私の立場では対処できない類の内容だったにも関わらず、です。
相手の立場をみて物言いを変えたり話の内容を選んだりするのはよくあることで、それはこの仕事をしている女の子たちにしても同じ、ドライバースタッフに対する物言いと私に対する物言いにはやはり違いがあります。端的に言えば、相手の立場が上になればなるほど、女の子たちはそれが「より重要な話をすべき相手」だと認識するわけで、普通に頭の働く人間ならその道理をすぐに看破します。が、しかし、ここには大きな落とし穴があります。この道理を看破したスタッフの多くは、女の子たちの信頼を得るために自分を実際以上に大きく見せることに腐心し始めるのです。これは危険な傾向です。私は「実の伴いないハリボテ」と化して堕落したスタッフを何人も知っています。
立場を拠所としたコミュニケーションには本当の意味での信頼関係は生まれません。相手が見ているのはあくまでも「立場」であって、決して「その人そのもの」ではないからです。一人の人間として他者の信頼を得ること、確かにこれは容易ではないのですが、しかし、それを目指さなくては「立場」を得ることもまたできないのだと思います。
ドライバースタッフが何を言っても横に振る女の子の首を私は一言で縦に振らせることができます。しかし、彼女の首を縦に振らせているのが「私自身」なのか私の「立場」なのかはよく分かりません。否、正直に言えば後者なのだと思っています。勿論、立場のある人間が立場を利用することは(その方向性を誤らなければ)決して悪いことではないのですが、しかし、最近はどうもそのようなコミュニケーションのあり方に物足りなさを感じてきてもいます。私を「風俗っぽい」と評した彼女にしても、要は私を一人の人間として見ているのではなく、その立場ごと見ているからなのでしょう。
さて、私の「贅沢な悩み」に着地点を見つけるのも難しそうなので、話題を冒頭の「Kさん」に戻してみましょう。このKさん、実は横浜の姉妹店から短期研修に来ているスタッフです。女の子とKさんの噂話をするのも私の大事な仕事の一つであるというお話はさておくとして、ケアレスミスが目立ち今ひとつ積極性に欠けるような気もするそのKさん、しかし、冒頭に引用した女の子からの評価は、これから「立場」を得るのかも知れない人に対するものとして決して悪いものではありません。自分を必要以上に大きく見せることなく、いつも自然体で構えていれば、「立場」など勝手についてきます。私にできるアドバイスなどそのぐらいでしょうか…。
そう言えば、少し前に入店してくれた女の子が、面接に来る前にこの「幹部ナビ」の文章を隅から隅まで読んだらしくて、従って、私が前回書いた「面接時のメガネ」に関する文章も面接前に読んでいたのだとか。しかし、面接時には私のメガネの動作などまるで気にしなかったそうで、何故なら、彼女は面接をした私のことをその文章を書いた「品川ラズベリーの責任者」だとはユメにも思わなかったから…。うーん、これも一つの「自然体」でしょうか?
少し不自然な自然体に関するアドバイス