このお店って若い子いますか?
今日体験入店に来てくれた女の子にそんなことを訊かれました。その女の子も22歳で私に言わせれば十分に若いのですが、それはともかく、彼女が何故そんなことを私に訊いたのか? その理由は意外なものでした。その同じ女の子に「それ老眼鏡ですか?」とか「趣味はゲートボールでしょ?」とかスッカリ年寄り扱いをされてしまったそんな私は品川ラズベリーで責任者を勤めさせていただいているものです。
「O型のヒトは分析好きですからね」と、これもやはりその女の子に言われたことなのですが、彼女の言葉にある「O型のヒト」とは勿論この私のこと、その女の子に対して「アナタは一見○○そうに見えるけど、実際は××で△△なんでしょ」と得意げに語ってみせた私に返した言葉がそれだったわけです。否、正確には「エ〜! 結構当たってるかも〜! 血液型は何型ですか?」「O型ですよ」に続いた言葉が最初のそれなのですが、この遣り取りの最中の私が終始ニヤケ顔だったのはここだけの話です。
さて、そんな遣り取りをしながら彼女を自宅近くまで送り届けた帰り道、独りでハンドルを握りながらフト思い当たったのが、私は彼女にまんまと「接客」されていたのではないかという疑念です。つまり、実際には私の得意げな指摘など何一つも当たってなどいなくて、彼女は私にちょっとした優越感を持たせるために適当に話を合わせていただけなのではないか、と。真実が何処にあるのかはさておくとしても、しかし、私の彼女に対する評価が一気に上がったのは言うまでもないこと、些細な言葉の遣り取りで相手にそれとなく優越感を持たせることこそが接客の基本、彼女にはそれが自然と身についているのです。私の愉しみが一つ増えました。明日も出勤してくれる彼女はこの後一体どんな「結果」を残してくれるのでしょう?
誰しもが彼女のように振舞えるわけではありません。彼女のそれが天性のものなのか、あるいは然るべき教育の成果なのかは知る由もありませんが、しかし、在籍の女の子たちに対して、皆彼女のように振舞えるよう指導教育する立場にあるのが私であり、また、それこそが男子スタッフに課せられた重要な責務の一つなのです。ただ単に「(お客様を)褒めてあげなさい」と教えるだけでは、彼女のような会話術を得るには至らないでしょう。では、どのように指導してあげれば良いのか? それが分かっていれば、私は今ここでこんな文章など書いてはいないはずです…。
では、そろそろ冒頭の言葉に隠された「意外な理由」に話を戻しましょう。曰く「このお店は結構キビしいから若い子は続かないんじゃないですか?」と。話を訊くと彼女が以前在籍していたお店は相当に「緩かった」らしく、むしろ「甘い」と指摘されることの多い私の言動すら厳しく感じられたのだとか。確かに、甘言を弄し縛りを緩くすれば女の子にとって居心地の良い環境が生まれるのかも知れません。そこには勿論「指導教育」なんて概念も存在しません。「女の子本位」と言えば聞こえは良いのですが、しかし、それがそのまま「お客様本位」となり得るかどうかは大いに疑問の残るところです。女の子に対する手のかかる指導も教育も、すべては「お客様本位」の発想に帰するもの、この業界、それが発想の根幹になくては何一つも成し得ないのは言うまでもないことです。
22歳の彼女より「若い女の子」は勿論数多く在籍しています。誰一人もこの環境から逃げ出していないと言えばそれは嘘になります。しかし、だからと言って、何かを緩めるつもりはありません。その「甘え」は「お客様本位」の発想を裏切ります。
学校? 監獄? 否、ここはただの風俗店です。