○○さんの顔を見るとそろそろ終わりかなあって思います。
入店したばかりの頃よく女の子に言われました。否、別に私がこの世の終わりを予感させるような顔をしているということではなくて、ここで言う「終わり」とはお店の営業終了時刻のことです。私は掛け持ちのドライバースタッフとして品川ラズベリーに入店し、入店当初は深夜25時からの変則出勤、そんな事情を知る女の子たちにとって、私は夜更けを告げる合図のような存在だったわけです。そんな私は品川ラズベリーで責任者を勤めさせていただいているものです。
掛け持ちのドライバースタッフとして入店した私が今日に至る過程には実に興味深いものがあります。否、これは私に限ったことではなくて、デリバリーヘルスのスタッフがより責任の重い立場にステップアップしていく過程が、或ることに正しく呼応しているという話で、例えば、ドライバースタッフとしてそれなりに業務を習得すると、次は受付業務を任されることになるわけですが、実際に受付に入ってお客様からの電話を受けるようになると、すぐに或る重要なことに気が付くことになるのです。
お客様のご案内の流れを「入口」と「出口」という言葉で表せば、ドライバースタッフの業務は専ら出口付近の業務、対して、受付スタッフの業務は入口の部分、お客様からのご予約のお電話からすべてがスタートすると考えれば、それを受けるのはマサに「入口」となります。入口がなければ出口もない、受付スタッフが予約電話を取り損ねれば当然ながらそれに続くドライバースタッフの業務も起こり得ないわけです。入口、流れの上流に近くなればなるほどその業務に課せられた責任はより重くなってくるわけで、また、物理的な意味とは相反して、お客様との距離も近くなってきます。そしてさらに言えば、それは単に一連の業務の入口ということだけではなく、お金即ち「売上」の流れの上流を任されるということで、お店の売上や利益も受付次第と言っても決して過言ではないのです。スジの良いスタッフは受付業務を任せるとすぐにそのことに気が付き、与えられた責任の重さを自覚してくれます。
要は、デリバリーヘルス店のスタッフとしてのステップアップとは、売上の流れの上へ上へと遡っていく過程に同じ、勿論、流れのどの場面を任されようともすべてのスタッフが重要な役割を担っているのは同じ、中途で流れが止まってしまっては何一つのものも生まれませんからね。すべては共同作業です。
さて、この話にはまだまだ続きがあります。つまり、一連の流れにはまだまだ遡るべき先があり、源流には遠く及んではいないということです。予約受付電話よりさらに遡るべき次なる上流とは何処か、それはお客様方に受話器を握らせる動機付け、そう、女の子たちの確保、言うなれば商品の入荷と陳列です。入店を希望する女の子の面接と選別はその店のクオリティとカラーを決定付ける重要な作業、電話が鳴るも鳴らないも、とどのつまりがこれにかかっています。また、それは単に面接担当者が女の子を選別する作業というだけではなくて、同時に女の子の側が面接担当者即ちその店舗を選別する作業でもあるわけで、つまり、面接担当者はその店舗の看板を背負ってその場に臨むことになるわけです。事の重要性はご理解いただけるはず、私もこの業務に臨むにあたってはいまだに多大な緊張感を強いられます。
それでも、私はまだまだ「源流」とは程遠い場所にいます。否、そろそろこの話を纏めましょう。私が思う「源流」とはこれをご覧いただいている皆様方のことです。これら業務を支える男子スタッフの人材、それこそがすべての源、残念ながら私はその源に大きく関わるにはまだ至ってはいません。これをご覧いただいて応募された方と面接の場でお会いできるほどの場所には辿り着いていません。それでも、私のこの拙い文章を介して、ホンの少しでも応募を躊躇っている方の手助けになれているのならば、それは私にとって大きな誇りとなります。源から源への永劫回帰、この文章を書きながら自身が「25時の男」だった頃の緊張感を少し取り戻したような気がします。