こんにちは。テクニカルのOです。
世の中はゴールデンウィークに入り、旅行に行かれる方も多いのではないかと思います。
旅先の思い出を残すため、デジカメを携行し、また、新しく買おうとしている方もいるのではないでしょうか。
カメラメーカー各社も、それに合わせて、新製品を投入しています。
そこで、今回は、デジカメの機種選びというものについてお話ししようと思います。
2、3年前から、デジタル一眼レフカメラも安くなってきました。
それまでは、コンパクトデジカメという長方形の小さいカメラを買っていた人たちが、もっときれいに撮りたいと、デジタル一眼レフカメラを買う機会が増えました。
コンデジ(コンパクトデジカメ)に比べると図体が大きく、レンズ部分も飛び出していて、持ち運びは楽ではないのですが、やはり画質のよさが違います。
たとえば、コンデジから買い替えた人が一番感動するのは、人物などを撮ったときに背景がぼけるということだそうです。
カメラのレンズが大きく、入ってきた光を電気信号に変える撮影素子(CCD、CMOS)も大きいために、焦点が合う前後の距離が短くなり、背景をぼかすといったこともできるのです。記念写真などを撮る場合は、背景がぼけてしまうとどこだかわからなくなるので、「絞る」という設定をして、背景もきれいに写るようにします。
設定を変えていろいろな表現ができるということも、デジタル一眼レフカメラならではの利点です。
デジカメの性能を表す指標の一つに、1000万画素、1500万画素といった解像度というものがあります。
この数字が大きい方が画質がいい、と思いがちですが、なかなかそうでもありません。
大きいサイズの紙に印刷する場合は、解像度の数字が大きい方が、細かいところまで解像します。
しかし、この1000万画素や1500万画素といった画素数を置く撮影素子(CCD、CMOS)の大きさは規格に沿って決まっています。そのため、画素数が多い方が、1画素分の表面積(画素ピッチ)は小さくなります。そうすると、1画素に取り込める光の量が減ってしまうため、画質が悪くなります。具体的には、暗い場所での高感度撮影のときに、ノイズが乗りやすくなり、ざらざらとした画質になってしまいます。
各社、高感度撮影時のノイズについては、ソフトウェア技術の進歩で、かなりきれいに目立たなくできるようですが、ノイズを塗りつぶすという作業になるために、なんとなくのっぺりとした画質になってしまいます。
この限界を超えるには、どうすればいいかというと、1500万画素といった画素数を減らすか、撮影素子のサイズを大きくすればいいということになります。
最新機種にはありませんが、2年ほど前に、当時としては画素数が少ない600万画素の機種が出て、現在も売られているものがあります。安いカメラを作るために画素数を抑えたのが、副産物として画質もよかったために、かなりの数が売れました。
もうひとつの方法、撮影素子のサイズを大きくする場合についても、各社しのぎを削っています。
現在主流の撮影素子サイズは、APS-Cという規格のものですが、これよりも大きいものに、昔の35mmフィルムカメラと同じサイズのフルサイズと呼ばれる規格があります。APS-Cの約2倍の面積を持つために画素ピッチに余裕が持てます。画質もかなりいいようです。
1年ちょっと前までは、フルサイズ機はCanon1社しか出していなかったのが、Nikonが製品を投入し、Sonyも参戦してきました。
Nikonが始めに出した機種は1200万画素でした。フルサイズで1200万画素だと、高感度撮影能力にかなりのキャパシティを振ることができます。実際に、このカメラは、ソフトウェア技術と相まって、暗所撮影に革命を起こしました。
Sonyは、フルサイズの能力を画素数に振りました。2400万画素という高画素で、発売前には「画質が悪いだろう」とさんざん叩かれましたが、いざ出てみると、高感度撮影能力はやや劣るものの、低感度時は、Nikon機をも上回る見事な画質で、なかなか売れているようです。
Canonは、もともとフルサイズ機を2002年という早い時期から出していて、1社独占という状況でしたが、価格が90万円台と高いこともあり、一般には普及していませんでした。2005年に出した1200万画素機が約35万円という価格で発売され、画質がいいという評判とともに、じわじわと普及しました。Nikonなど他社も、それを無視できなくなり、フルサイズ機製品投入へとつながりました。
Canonの最新フルサイズ機は、NikonとSonyの間を取った感じで、2110万画素、高感度撮影もOKというものです。おまけに動画撮影機能も付いています。
おまけとは言え、この動画撮影機能がすばらしいようです。フルサイズの撮影素子は、テレビ放送や映画撮影用カメラの撮影素子よりもサイズが大きいため、映画のような背景ぼけを出したり、暗所撮影では、テレビ放送よりもきれいに撮ることができます。AKB48のPVや、実際の映画撮影にも使われたそうです。
結論として、デジタル一眼レフカメラを買うにあたって、画質を求めるならば、画素数の少ないAPS-C機か、フルサイズ機がいいということになります。
600万画素のAPS-C機は、機種が絞られますが、本体のみで約3万5千円、フルサイズ機は、各社20万円台で販売されています。
最後になりますが、以前、「人は、なんのために写真を撮るのか?」といった問いをネットで見かけました。
「男性は、その風景を切り取るために撮る。女性は、その風景を思い出すために撮る」なんてことが書いてありました。
現代ならば、男性も女性も「ブログに載せるため」とか、情緒のかけらもない回答が来そうです。……自分もその一人ですが。
それでは、連休中、またその後も、よい写真ライフをお送りください。